Saturday, June 23, 2012

◎ Illustrator などを持っていなくても、無料のソフトでフォントのアウトラインを作成する方法


印刷に出す際や、PCの環境がよく分からない相手にファイルを渡す際、使用したフォントと同じものを相手が持っているかが問題になる。

もし無い場合、フォントは相手のPCのフォントに置き換えられてしまい、レイアウトデザインはまったく意味をなさないことになってしまう。右画像はaiファイルをフォントがないPCで開いた例。

そこでよく使われる方法が、フォントのアウトライン化。アウトライン化とは、簡単に言うと、表示したフォントをサイズ、色、行間、文字間などの情報をそのままにベクター(ベクトル)の図形にしてしまうもの。右画像下がアウトライン化した状態。

しかし、ポストスクリプト系のIllustratorなどのソフトを持っていない場合、フォントのアウトライン化を簡単に作成することはできない。

相手が同じフォントを持っていない場合の別の対策としては、フォントをエンベッド(埋め込み)した PDF にすることでも解決できるが、やはりIllustratorやAcrobatなどの高価なソフトが必要になる。

今回の方法は、特定の文字のフォント情報を相手に渡したいケースで、相手側がリサイズなど編集できて、しかも劣化しないアウトライン化したベクターデータを無料のソフトで作成するもの(Macで使うことを前提に書いていますが、Windows環境でも同様です)。

その(1)無料のソフト Inkscape.app を使う
古いMacでも使えるドローソフト Inkscape.appは、オープンソースなので無料で利用、再配布もできる。現時点で最新のMac用安定板のダウンロードファイルは、「 Inkscape-0.48.2-1-SNOWLEOPARD.dmg 」。Mac OS X 10.7 Lionでも利用できる。また、古いMac OS X 10.4でも動作するv0.46も入手できる。右画像左がv0.46のアイコン。なお動作には、X11かXquartzが必要。

Inkscape.appについてのこのブログの関連ページ:

初期状態では英語版のままなので、使いやすさを考えて、まず日本語化しておく。

 起動していたら「Inkscape.app」を終了させる。
「Inkscape.app」アイコンを右クリックから【 パッケージの内容を表示 】を選ぶ。
フォルダが開くので、【 Contents 】→【 Resources 】→【 bin 】フォルダ内の「inkscape」をバックアップのためにどこかにコピーしておく。
inkscape」をエディタ系アプリで開く。
 Inkscape v0.46では60行目あたり、Inkscape v0.48.2-1では125行目あたりの
export LANG="`grep \"\`defaults read .GlobalPreferences AppleCollationOrder \2>&1\`_\" /usr/share/locale/locale.alias | tail -n1 | sed 's/\./ /' | \awk '{print $2}'`.UTF-8"
を見つけて、export LANG= 以下を【 "ja_JP.UTF-8" 】と書き換え保存する。

Inkscape.app 」のフォルダを閉じる。
Inkscape.app」を起動する。一部を除いて、メニューなどが日本語化される。

日本語化しても、日本語入力できない場合、テキストエディタなどで、テキストを打っておき、コピー & ペーストする。これは次に紹介するソフトも同様。

ちなみに「Inkscape.app」の「ペースト」ショートカットは、Mac標準や Illustrator などの [ command ] +「v」ではなく、[ control ] +「v」なので注意。


アウトラインの作成
● 新規ドキュメントを開き、左側「A」マークの「テキストを作成/編集」アイコンをクリックし、テキストを作成する。

● フォントの変更は、テキストを選んでおいて、メニューの【 テキスト 】→【 テキスト/フォント 】からできる。

● アウトライン化は、テキストを選んでおいて、メニューの【 パス 】→【 オブジェクトをパスへ 】。

● 保存は、メニューの【 ファイル 】→【 名前を付けて保存 】から、ファイル名を入れ、保存場所を選び、ファイル形式を選んで、【 save 】をクリック。ファイル形式は、ベクターにするので、svg、eps を選ぶ。

● このsvgやepsファイルを受け取った相手が Illustrator を持っている場合、開いて、ベクター化したオブジェクトをダイレクト選択ツールなどを使って個別に編集、保存できる。 Illustrator が無い場合、 Inkscape.app を入れれば問題なく開いて編集することができる。

※注意点:
・Macの「Inkscape.app」で利用するフォントは、HD直下の「Fonts」フォルダに入れておかないと使えない。HD直下の【 ライブラリ 】→【 Fonts 】
ユーザー・ホームの【 ライブラリ 】→【 Fonts 】のものは認識されない。
(OS X 10.4.11のv0.46の場合、他のOS XやInkscapeのバージョンでは未検証)


その(2)無料のオフィススイート LibreOffice.app を使う
こちらも、古いMacでも使えるオープンソースのソフトウェア、無料で利用、再配布もできる。古いMac OS X 10.4.11で使っているバージョン3.4.4(Build 402)を使用してテストした。現時点での最新安定版は、バージョン3.5.4

使用するのは、LibreOffice.app のImpress(MS OfficeのPowerPointに相当)か Draw(画像作成ドローソフト)を使う。

アウトラインの作成
● 下側にある「テキスト」ツールを使ってテキスト領域を作成、テキストを入力し、そのテキストを選択して、上側のプルダウンメニューから、フォント名サイズを決め、右上「フォントの色」から色を設定、相手に渡したい状態にしてから、とりあえず標準のフォーマットで保存しておく(バックアップのため)。

● 次にメニューの【 ファイル 】→【 エクスポート 】を選び、表示される保存ダイアログの「ファイルの種類」のメニューをプルダウンし、【 EPS 】を選び、名前を付けて保存する。【 PDF 】や【 SVG 】もあるが、後で Illustrator で編集する場合は問題が生じる。

これだけで、渡す相手が Illustrator を持っている場合、それで開けば、文字はすべてアウトライン化されている。そのまま、ダイレクト選択ツールで、文字を個別に選んで編集できる。右画像は、「F」のアウトラインをコピー & ペーストし、元のアウトラインとブレンドツールを使って視覚化したもの。

相手が Illustrator などを持っていない場合は、無料のLibreOfficeOpenOffice.orgを利用する。LibreOfficeと派生関係にある「OpenOffice.org」はLibreOfficeと同様に動作する。

LibreOffice.appについてのこのブログの関連ページ

なお、 Inkscape.appや LibreOffice.appで作成したPDFを Illustrator で編集すると、フォントのエンベッドの問題が生じる。これについては、長くなりすぎたので、別な機会に。

LibreOffice.app :http://ja.libreoffice.org/

追記 :

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