Tuesday, April 30, 2013

JAL倒産で決算好業績

JALが決算を発表していますが、倒産によるリストラや債権放棄により業績が大きく回復しています。JALの決算を見ると、債権放棄金額の大きさやJAL株式を上場前に受け取った企業に対する批判が再度、浮上しそうですね。

(1)倒産と債権放棄

倒産や経営危機のときに、企業再建を行うには負債を減少させるために、債権放棄が行われることがあります。銀行が債権放棄を認めるためには、金融庁の金融検査で説明のために厳しい資産査定や再建可能性が求められます。

大企業は公共性が高く、取引先の連鎖倒産など経済への影響が大きい企業は債権放棄が行われますが、JALは倒産による債権放棄によりANAを超える利益を計上しています。

(2)JALとANAが好決算

JAL日本航空の倒産で決算好業績について、2013年4月30日の毎日新聞が、<日本航空>「破綻効果」で好決算 不公平論再浮上も可能性があることを報じています。
日本航空と全日本空輸の国内大手航空2社が30日、13年3月期連結決算をそろって発表した。バッテリー発煙トラブルを起こした最新鋭中型旅客機「ボーイング787」の運航停止などで厳しい環境に直面したが、営業利益では全日空が過去最高を更新、日航も最高水準を維持し、いずれも好調な決算となった。
大手航空会社のJALとANAは、2013年3月期決算で好業績であることを発表しています。ANAの利益と比較すると、JALの利益は倒産による債権放棄の影響が大きいので単純比較は困難です。

(3)ボーイング787のトラブル JALが成田の新路線を開設

一方、日航は同日、787の運航停止で延期していた成田-ヘルシンキ(フィンランド)線を7月に開設すると発表。両社にとって戦略機材と位置づける787事業の立て直しが今後の課題となる。
JALはボーイング787の大量購入を発表していますが、機体トラブルによる路線の新設が遅れているようですね。JALの2014年3月期決算は、ボーイング787が運用再開すればコスト削減により利益の増加が見込めそうですね。

(4)JAL過去最高の決算と遜色なし

日航は昨年9月に東京証券取引所に再上場して以来、初の通期決算の発表となったが、営業、最終(当期)利益ともに過去最高だった前期に見劣りしない内容となった。
JALは、前期に過去最高益を計上しましたが、2013年3月期決算も過去最高益に準じる水準となっており、債権放棄の効果の大きさが分かりますね。

(5)JALの減益要因と増益理由

夏以降は尖閣諸島問題による中国線の旅客減、年明けには787の運航停止、年度末には円安傾向による燃油費の圧迫などで苦しんだ。しかし、昨秋以降の景気の持ち直しを受けてビジネス需要が拡大。特に国際線の旅客収入は前期比5.5%増と伸び、需要増が収益を押し上げた。 
JALの2013年3月期決算に影響を与えた要因について見てみましょう
  1. JAL利益減少 尖閣諸島問題による中国線の旅客減
  2. JAL利益減少 ボーイング787の運航停止
  3. JAL利益減少 為替レート円安傾向による燃油費の圧迫
  4. JAL利益増加 国際線の旅客収入は前期比5.5%増と伸び
JALの減益要因と増益理由を見ると、企業努力でどうしようもない問題が多いですが、景気回復による国際線が堅調なため決算が好調であったようですね。

(6)JAL倒産効果で利益増加

ただ、日航の好決算は、なお「破綻効果」に支えられているのも事実だ。13年3月期も、会社更生法適用に伴う減価償却費の削減などで約460億円の利益押し上げ効果が生じている。全日空との比較では、売上高こそ全日空が約2500億円上回るが、最終利益では日航が約1300億円も上回るという結果だ。
JALは会社更生法適用による倒産の際に、航空機の資産評価損を計上することで多額の赤字を計上しています。

JALは倒産により多額の債権放棄を受けていますが、巨額の赤字による繰越欠損金により、法人税を支払う必要がないため利益を押し上げていますね。
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