(1)北海道拓殖銀行倒産とゼネコンの不良債権
北海道拓殖銀行が倒産しましたが、東海興業やカブトデコムといったゼネコンや不動産ディベロッパー向けの、リゾートホテル開発資金や不動産融資の不良債権化が引き金となっています。北海道拓殖銀行が倒産後の状況について、佐藤真言さんの『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』に、当時の銀行の融資状況や資金繰り対応が書かれているのでp56とp57を見てみましょう。
(2)北海道拓殖銀行の破綻と銀行の企業規模
この年の11月、北海道拓殖銀行(拓銀)が破綻した。拓銀は都市銀行の一行であり、第一勧銀と比べると規模こそ小さかったものの、北海道では支店数、貸出先数、貸出金額ともに最大の銀行であり、取引のない中小企業はないと言ってもいいほどに地域に密着した銀行であった。北海道拓殖銀行が1997年に破綻したことで、北海道経済は大きく悪化しましたが、その背景を見ると都市銀行の中でも地域経済に密着していることが分かります。
(3)拓銀倒産と運転資金の資金調達
拓銀から融資を受けていた中小企業にとってはたまったものではない。今までなら、多少決算書の数字が悪くても運転資金の面倒を見てもらっていたのに、拓銀が倒産したために、新規融資を受ける銀行を新たに探さなければならなくなったからだ。拓銀倒産により、拓銀と取引のあった中小企業は、運転資金の資金調達に奔走していたようです。企業にとって運転資金が調達できなければ、資金繰りがショートしますので倒産を意味します。
北海道拓殖銀行は北海道で圧倒的な規模がありましたので、倒産により、多くの中小企業の資金繰りに混乱があったようですね。釧路丸水 倒産の理由は、売上減少と費用の増加により、5期連続赤字と債務超過になっていますが、銀行の経営体力がなければ企業存続は困難だったでしょうね。
(4)銀行融資と銀行員の判断
新規融資を求めて第一勧銀に来店するどの社長も、不安を隠しきれない様子だった。目の前で応対する銀行員の判断が、自社の命運を左右することになるからだ。佐藤真言さんは著書の『粉飾』で、北海道拓殖銀行倒産の当時の様子についてまとめています。中小企業にとって運転資金の調達が遅れると、倒産しますので、中小企業の社長にとって非常に重要な資金調達であったことが分かります。
(5)銀行の融資窓口と融資を断る事例
この拓銀破綻を機に、私は融資窓口に来店する中小企業の対応にあたることになった。しかし、実際の融資の現場は自分の思い描いていた理想の銀行像とは大きく異なっていた。私が貸したい、支援したいと思う会社であっても、支店長や課長は「住友銀行や東京三菱銀行が融資を断った先にわざわざ当行が貸す必要はない」とか、業績が悪い先にわざわざ新規で貸すメリットがない」といった具合に消極的であることが多かった。佐藤真言さんは、北海道拓殖銀行の破綻後に、運転資金調達を行っていた中小企業の対応を行ったようですね。佐藤真言さんは銀行の融資姿勢について、粉飾の中で都市銀行で違う銀行が融資を断った先は、借入が困難であることを書いています。
魁コンサルティング倒産と詐欺を見ると、みずほ銀行築地支店の不正融資事件が行われていますが、佐藤真言さん有罪となるきっかけとなった事件のようですね。
(6)銀行員の裁量と金融庁
それでも、まだこの時代は、貸す、貸さないの判断について、銀行員の裁量が比較的大きく、この会社に貸したいという強い熱意があればそれを支店長にぶつけ、支店長が承認するという、銀行員としての醍醐味を味わうことのできた時代であった。
その風向きが変わるのは、平成12年に金融監督庁(金融庁)ができる少し前からだった。佐藤真言さんは、銀行員が融資を行う裁量について書いていますが、金融庁の設立後は状況が変化しているようですね。
佐藤真言さんは著書である『粉飾』で、様々な切り口で銀行員の考え方や金融行政の方針、融資方法などを紹介していますので、何度か紹介したいと思います。銀行融資の格付け 不良債権と倒産(2)に続く。Any source
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