(1)中山製鋼所の経営再建策
中山製鋼所 倒産危機についてまとめましたが、私的整理により経営再建の調整を行っていることが報じられていました。- 金融機関の債権放棄
- 企業再生支援機構の債権買取り
- 新日鉄住金などにの増資引き受け
中山製鋼所が発表した企業再生スキームを見ると、企業再生支援機構の債権買取りは含まれておらず、今回は延期になったのでしょうか。
(2)地域経済活性化支援機構が再生支援を決議
中山製鋼所が債権放棄と倒産回避の仕組みについて、中山製鋼所のホームページで2013年3月28日に地域経済活性化支援機構による中山製鋼所への再生支援決定のお知らせを発表しているので見てみましょう。株式会社中山製鋼所(以下、「当社」といいます。)は、平成25年3月28日開催の取締役会において、株式会社三菱東京UFJ銀行(以下、「三菱東京UFJ銀行」といいます。)と連名にて、株式会社地域経済活性化支援機構(以下、「機構」といいます。)に対して、事業再生計画(以下、「本事業再生計画」といいます。)を提出して再生支援の申込みを行うことを決議した上でその申込みを行い、同日、機構から再生支援決定の通知を受けました。中山製鋼所は三菱東京UFJ銀行と連名で地域経済活性化支援機構に、事業再生計画を提出してお墨付きをもらったようですね。
中山製鋼所が、三菱東京UFJ銀行と連名になっているのは、三菱東京UFJ銀行がメインバンクだからと思います。中山製鋼所の債権放棄と企業再建スキームについて見てみましょう。
(3)経営再建スキームのポイントは3つ
- 金融機関に約602億円の債権放棄と新規貸出
- 連結子会社と株式交換を行うことでグループ経営の強化
- 約90億円の第三者割当増資を予定
(4)金融機関の債権放棄-1
- 債権放棄を受ける債務の種類 借入金
- 本債権放棄の額(単体)約602億円
- 最近事業年度の末日(平成24年3月31日)の債務の総額(単体)1,177億円
- 最近事業年度の末日(平成24年3月31日)の債務の総額に対する当該債権放棄等の割合51%
- 三菱東京UFJ銀行が運転資金として、限度額15億円の新規融資枠を設定
中山製鋼所が債権放棄を依頼すれば、新規貸出に金融機関は消極的になることが予想されますが、三菱東京UFJ銀行が運転資金として、限度額15億円の新規融資枠を設定するようですね。
(5)連結子会社を株式交換により完全子会社化-2
- 中山製鋼所
- 中山三星建材
- 中山通商
- 三星商事
- 三星海運
- 三泉シヤー
中山製鋼所が株式交換により、出資関係を整理できれば、グループ間の意思決定が早くなる可能性はありそうですね。
(6)新株発行 第3者割当増資-3
増資引き受け候補の6社
- 新日鐵住金株式会社 94,246,000株
- 阪和興業株式会社 79,883,000株
- 日鐵商事株式會社 52,404,000株
- エア・ウォーター株式会社 46,885,000株
- 大阪瓦斯株式会社 19,230,000株
- 大和PIパートナーズ株式会社 54,102,000株
中山製鋼所は、増資の資金使途について、構造改革費用等35億円と設備投資資金等約55億円を想定しているようですね。
第3者割当増資募集前(平成24年9月30日現在)
- 新日本製鐵株式会社 9.80%
- 財団法人 中山報恩会 8.13%
- 株式会社三菱東京UFJ銀行 3.78%
- 中山持株共栄会 2.23%
- 株式会社中山製鋼所 2.03%
- CBNY DFA INTL SMALL CAP VALUE PORTFOLIO(常任代理人 シティバンク銀行株式会社)2.02%
- 尼崎製罐株式会社 1.51%
- 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口4)1.44%
- 日鐵商事株式會社 1.29%
- 住友生命保険(相)(常任代理人日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社)1.14%
新日本製鐵は、第3者割当増資を引き受けますが、増資と連結子会社との株式交換で大株主の名前が大きく変わります。
第3者割当増資募集と子会社との株式交換後
- 新日鐵住金株式会社 16.98%
- 阪和興業株式会社 12.78%
- 日鐵商事株式會社 8.58%
- 大和PI パートナーズ株式会社 8.58%
- エア・ウォーター株式会社 7.50%
- 中山三星建材株式会社 3.99%
- 中山通商株式会社 3.59%
- 三星海運株式会社 3.09%
- 三星商事株式会社 3.06%
- 大阪瓦斯株式会社 3.05%
ワールドロジ倒産破産と上場廃止を見ると、金融機関などの債権者による債権放棄に失敗して倒産していますので、中山製鋼所は新日鐵住金の支援や金融機関との関係が良好であったのではないでしょうか。Any source
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