(1)投資の失敗による倒産
投資は企業の成長にとって必要不可欠ですが、設備投資を行った後に本業が不調になると、経営体力が乏しい中小企業は急激に経営が悪化します。北海道村は倒産しましたが話題となった、肉巻きおにぎり店やお菓子のコンテストで優勝したファクトリーナカタも投資の失敗により倒産しています。
北海道村の倒産も投資失敗によるものですが、本業が不調になったことに加えて、買収先の不採算事業が倒産理由になった点は上記の事例と異なりますね。
(2)バンビや北海道村ブランド、キャラメルで有名
北海道村の倒産理由について、2013年2月26日の帝国データバンクが菓子製造・販売を手がける北海道村など2社、自己破産申請へと報じていますので見てみましょう。(株)北海道村は、1985年(昭和60年)10月に設立。食品卸業者などを通じて全国のコンビニエンスストアやスーパーストア向けに、「バンビ」「北海道村」など自社ブランドのデザートやキャラメル、パン、生ラーメンなどの製造を手がけ、2010年9月期には年売上高約21億9600万円を計上していた。北海道村は、バンビや北海道村ブランドで有名なブランドなようですね。北海道村が倒産する前の売上高の推移を見てみましょう。
(3)北海道村の売上高推移
- 2009年3月期 売上高約29億8000万円
- 2010年9月期 売上高約21億9600万円
- 2012年9月期 売上高約25億3800万円(TSR 23年9月期)
- 利益率の高いキャラメル事業の低迷で3期連続の赤字(TSR)
北海道村の倒産について、売上高の推移のみ見た方は驚かれると思いますが、内実は買収により借入金の増加と買収先の経営悪化が経営を圧迫したようですね。
北海道村の利益率の高い事業が、買収後に低迷したことで、借入金の返済計画に支障をきたしたのではないでしょうか。
(4)北海道村は買収や設備投資に積極的
この間、積極的なM&Aや設備投資を進め、2007年には池田製菓(株)(小樽市、菓子製造)の事業を引き継ぎ、「バンビ」ブランドの使用権を取得。2009年には(株)梅屋(旭川市、洋菓子製造)の株式を取得して子会社とした(2012年に譲渡)ほか、民事再生法の適用を申請した(株)藤六食品(旭川市)の事業を承継し、煮豆・昆布製品の製造を開始するなど事業を拡大してきた。北海道村は倒産した企業などの買収や設備投資を積極的に行い事業を拡大していることが分かると思います。
- 2007年 池田製菓(株) 事業引き継ぎ バンビの使用権取得
- 2009年 (株)梅屋の子会社
- 倒産した藤六食品の事業を承継
(5)北海道村は買収失敗により債務超過
しかし、承継した事業に不採算事業が含まれていたほか、積極的な投資に伴う借入金の増加から収益性は悪化、財務面を圧迫し債務超過となっていた。北海道村は投資に積極的ですが、買収失敗により債務超過になっており、資産よりも負債が多いため倒産危機であったことが分かると思います。
(6)北海道村 金融円滑化法による経営再建に失敗
このため金融機関に対する返済条件を変更し、リストラを進めるなどして経営の立て直しを図っていたが、業況改善は進まず資金繰りは悪化、金融機関の支援も限界となり、今回の事態となった。北海道村は、経営再建のために中小企業金融円滑化法を活用して事業再生を行っていたことを東京商工リサーチが報じています。金融円滑化法期限切れ倒産と住宅ローンで不良債権の増加が懸念されていますが、中小企業金融円滑化法による企業再生は容易でないことが分かると思います。
(7)売上高に対して負債が過大
(株)北海道エスケープロダクツは、1980年(昭和55年)3月に設立。道内各地の旅館・ホテル、土産物店などに営業基盤を築いてケーキやチョコレート、クッキーなどの菓子類を中心とした観光客向け土産品の販売を手がけ、2009年3月期には年売上高約29億8000万円を上げていた。
負債は(株)北海道村が約20億円、(株)北海道エスケープロダクツが約11億円で2社合計では約31億円。北海道村の倒産時の、負債を見ると年間売上高の半分以上の負債を抱えていることが分かります。北海道村は3期連続の赤字になっていますので、負債を返済する見込みは事実上ないことが分かります。
北海道村倒産の理由を見ると、企業の買収や設備投資を行った後に、本業不振になると中小企業円滑化法があったとしても経営再建を行うことが難しいことが分かります。北海道の企業である洋菓子の館 倒産の理由を見ると、北海道村と倒産理由が大きく異なることが分かりますね。
北海道は水産物が有名ですが、釧路丸水 倒産の理由を見ると、釧路で最大規模の水産加工工場が倒産しており漁業に与える影響が気になりますね。Any source
No comments:
Post a Comment