(1)粉飾決算で倒産
インデックスの粉飾決算が話題となりましたが、粉飾決算の発覚は取引先からの信頼を失いますので、倒産するときがあります。上場企業の場合、監査法人の監査が決算書の信頼性を担保していますので、公認会計士が逮捕されたり、監査法人の信頼がなくなり倒産することもあります。
(2)カネボウの創業から戦後
- 1887年 紡績会社、東京綿商社として創業
- 1889年 紡績工場完成
- 戦前は国内企業売上高1位
- 1945年 空襲などで工場の喪失
- 戦後は旧経営陣が公職追放
カネボウのような巨大企業は、空襲で狙われたり、戦後は財閥解体や公職追放が行われていますので、戦争により過去の財産が失われていることが分かります。
(3)繊維事業からの転換
- 1949年 非繊維事業を鐘淵化学工業(カネカ)として分離
- 1961年 化粧品事業を鐘淵化学工業から買い戻し
- 1963年 紡績工場を化粧品工場に転換
- 1964年 ガムメーカーのハリス(クラシエフーズ)を買収 食品事業進出
- 1966年 山城製薬を買収 薬品事業(現・クラシエ薬品)に参入
- 1973年 オイルショックによるリストラ
- 繊維 保有資産の延長線上
- 化粧品 カネカからの買戻し
- 食品 買収
- 薬品 買収
- 日用品 保有資産の延長線上と買収
(4)バブル崩壊と粉飾決算の背景
- 新規参入分野の増加により借金が増加
- バブル崩壊による業績悪化
- 労使協調により赤字部門のリストラが不徹底
- 金融ビッグバンによる連結決算の導入
カネボウの経営陣は、債務超過による上場廃止を恐れて、粉飾決算により債務超過を隠蔽することを選んでいます。カネボウは連結決算の導入が行われると、グループ会社の業績悪化の影響で債務超過となりますので、粉飾決算を行うことを選んでいます。
半沢直樹 粉飾決算のネタバレでまとめましたが、バブルに銀行に入社した銀行員を描いたドラマが話題となっています。カネボウは大企業ですが、中小企業の倒産や粉飾決算、銀行内部事情に興味のある方にとっても、興味深いドラマであると思います。
(5)粉飾決算の内容
- 2005年粉飾決算の報道
- 1996年3月期から2004年3月期まで9期連続の債務超過
- 粉飾決算は2000億円超であり上場廃止
- 子会社の連結外しなど粉飾決算が常態化
- 経営悪化の15社を連結決算から外す
- 興洋染織の連結外しと循環取引で1000億円超
カネボウは原料を提供、興洋染織は製品の生産をしていましたが、カネボウが生産調整を拒んだだめ興洋染織が生産を続け、在庫をカネボウが背負うことになります。
クロニクル倒産と上場廃止がありましたが、証券取引所が問題性の高い企業に対して、上場維持が問題ないとしていたのか気になりますね。
(6)カネボウ粉飾決算 循環取引の仕組み
- カネボウ 原料生産、興洋染織に販売
- 興洋染織 製品生産 カネボウに生産した製品を販売
- カネボウ 興洋染織の製品を買い戻し条件つきで販売
- 商社 兼松やトーメンなどは在庫をカネボウに返品
- 興洋染織の支援 不良債権化で多額の損失
- 興洋染織の法的整理 カネボウの信用不安
魁コンサルティング倒産と詐欺は、みずほ銀行築地支店の不正融資事件ですが、粉飾決算が行われています。カネボウの粉飾決算とは異なり、銀行から新規融資を獲得する目的で、粉飾決算が行われていますね。。
(7)カネボウ倒産と企業再生
- 2003年度決算 3553億円の債務超過
- 2004年 花王への化粧品部門売却に労働組合が反対
- 2004年 産業再生機構が支援が決定
- 2005年 カネボウの上場廃止
- 2005年 中央青山監査法人の公認会計士が逮捕
- 2006年 カネボウ化粧品が花王の100%子会社に
- 2006年 中央青山監査法人の倒産
- 2007年 カネボウ解散により倒産
カネボウは倒産しましたが、化粧品部門は花王の子会社として業績回復が進んでいました。カネボウは2013年7月に化粧品回収を発表していますが、2000人を超える被害者がでており、ブランドイメージの悪化で低迷が続きそうです。カネボウまだら被害者画像と倒産危機を見ると被害者が8000人を超えていますが、現在も報告が増加しているようですね。
カネボウ白斑画像 自主回収と倒産の可能性でまとめましたが、カネボウは現状、保険外治療を認めていないですが、過去に皮膚治療を受けた方からの損害賠償請求もありそうですね。
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