Friday, August 31, 2012

パラリンピック・柔道の試合規定について。

 昨日のブログで「パラリンピックの柔道がおもしろい。これぞ柔道。」を書いたところ,驚くほどの反響がありました。そこにも書いておきましたが,正式の試合規定がわからないので,勝手に想像して書きました。そして,あとで調べた結果について報告するとも書いておきました。

 そこで,早速,近所の本屋さんに行って(かなり大きい),パラリンピック関連の本がないかと尋ねたところ,一冊もないことがわかりました。これはちょっと意外でした。では,雑誌かなにかでパラリンピックの特集をやっていないかと尋ねたところ,こちらもありませんとのこと。おやおや,健常者のオリンピックは前宣伝よろしくたくさんの本が刊行されたのにくらべ,なんという扱い方の違い。簡単に言ってしまえば「売れない」ということなのか。

 障害者アスリートに関する単行本(ノンフィクション)はありましたが,いま,わたしが必要なのはパラリンピックでの柔道の試合規定です。仕方がないので,鷺沼の事務所に行って,ネット情報を調べることにしました。あちこちリサーチしてみましたが,なかなか見つかりません。が,ようやく「公益財団法人日本障害者スポーツ協会の公式HPの奥の奥の方に,以下のような記述をみつけることができました。

 要約しておきますと,以下のとおりです。
 柔道:視覚障害者により行われる。試合の方法は基本的に健常者に準ずる。
 試合は,体重別で,男子は7階級,女子は6階級で行う。
 ルールは,国内大会も国際大会もすべて「国際柔道連盟試合審判規定」および大会申し合わせ事項によって行われる。
 この規定と異なる内容はつぎの3点。
 1.試合は両者がお互いに組んでから主審が「はじめ」の宣告をする。
 2.試合中両者が離れたときは主審が「まて」と宣告し,試合開始位置に帰る。
 3.場外規程は基本的に適用しない。ただし,全盲の選手を保護するため,弱視の選手が故意に利用した場合には適用されることがある。

 肝心要の「組み手」の方法については「両者がお互いに組んでから」としか記述されていません。 相手の襟を右手でとるか,左手でとるか,それぞれ得意の組み手があるはずです。ですから,健常者の柔道ではいわゆる「組み手」争いが起こるわけです。視覚障害者の場合の最初の「組み手」をどのようにするか,という規定がありません。いわゆる相撲で言うところの「けんか四つ」の場合にはどうするのだろうか,というのがわたしの疑問です。

 2日(日)夜の8時のNHKのEテレで,パラリンピックの再放送をやっていましたので,そこで確認することにしました。ちょうど,柔道男子100キロ超級が取り上げられていました。正木健人(25歳,兵庫県・徳島盲学校)選手の試合です。正木選手が今大会の日本選手金メダル第1号というわけです。ですから,かなりの時間をかけて報道してくれました。

 さて,そこで問題の「組み手」です。報道する方にその意識がないので,ほとんど組み終わったところからの映像ばかりでした。正木選手は左手で襟(できれば奥襟)をとるのが得意らしく,すべての対戦相手の襟は左手でとっていました。正木選手と同じ組み手の相手の場合にはなんの問題もないのですが(ごく自然な組み手),けんか四つの場合はいささかやっかいのようでした。

 お互いの襟をとるとき,相手の右手と正木選手の左手が重なってしまいます。袖の方は向こう側になっていて映像では確認できませんでしたが,こちらも,どちらがさきに袖をつかむかによって組み方が微妙に違ってくるはずです。ですから,主審が,かなり念入りに組み手の状態を確認した上で「はじめ」の声をかけていることがわかりました。

 これで試合が成立し,選手の側からもとくに苦情がないようですので,これはいい方法だと思いました。正木選手の初戦だったでしょうか,3連覇のかかった優勝候補のザキエフ(アゼルバイジャン)を相手に,「はじめ」と同時にかなり強引な「足車」の技をかけました。それがみごとに決まって「1本」。相手はなにもしないうちに終わってしまいました。このように,「はじめ」と同時に,すぐに技の応酬がはじまり,手に汗にぎる熱戦が展開します。

 これが「柔道」です。

 健常者の「JUDO」の試合は,みていて面白くありません。視覚障害者の試合の仕方から,とくに「組み手」の方法について,大いに学ぶべきではないか,とわたしは思いました。

 できれば,選手たちが,この「組み手」の方法について,どのような感想をもっているか直接聞いてみたいと思っています。


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